診療所の事務長、カウンセリング、コーチングをされいてる渡邊正徳さんに、NLPを軸にお話をお聞きしました。
第一部ではNLPについてお話しいただきました。
第二部は自分がしたことの感謝と自分がしてもらったことの感謝のお話です。
ぱんだ:わたしのところに来られる人の中に、例えば「専業主婦だから何も取柄がない」という表現をする人がいます。一日の中でやっていることを書き出してもらうと、たくさんの作業内容があります。毎日それだけやってるってことですが、それは自分の成果や経験としてカウントされないんですかと聞くと、当たり前のことだからと言われます。
この当たり前という認識を持ってるのは専業主婦に限らないと思うんです。仕事って任された何かだけでなく、そこに付随するたくさんのことをしてその何かに至るから、その全部をやったこととして結果、成果として認識できたらいいんですが、なぜそうはならず「当たり前」になるんでしょう。日本人特有のものですか。
渡邊さん:僕も結構多くの人にそういうところがあるなと感じています。NLPとは離れるんですが、ストレングスファインダーの34の資質の中に『完璧主義』があって、日本人はほとんど皆持っていると聞いて納得したことがあります。みんな100点が当たり前で、なんでわたしはできないんだというのが根付いてるのかなと思います。
ぱんだ:じゃあ割と皆が当たり前として済ませている傾向が高いんですね。
渡邊さん:高いですね。だからわたしには能力がないっていう勘違いが生まれることが多いんじゃないかと思います。話してみると、段取りをちゃんとやっている、抜け漏れがないように工夫していたりします。
できる事の例で言うと、『ガチャ』っていう扉を開ける音がすると、「何かしなきゃっ」ていうスイッチが入ってしまう人がいました。これもできる事の一つなんですよとお伝えして、この音を録音しておいて、やるべきことがあるのにどうしても動けない時に、『ガチャ』っという音を聞いて一気に状態を変えて行動を起こした、という例があります。
ぱんだ:それは特定のスイッチになり得るものと紐づけすると一般的に使えるっていうことですね。
渡邊さん:そうです。パブロフの犬の話と同じです。人生の中で作り上げたいくつものスイッチがあって、使えるものは使えばいいし、使いにくいものはアクセスしないようにします。
ぱんだ:自分を活かす側の条件付けができない人も、失敗するとか怒られるということと、自分がダメだという活かせない側はごく自然に結びつけられますよね。あれが不思議なんです。
渡邊さん:それは夢を描くことが少なくなったからなんじゃないかと思います。
NLPで言ってることではないのですが、引き寄せと言う言葉がありますが、自分のイメージしたことは現実化していきます。自分の目に映る回数が多いものほど自分との親和性が生まれるという結果もあります。だから、ありありとしたイメージを常に持っておくことで、そのイメージが現実のものとなります。自分の目標やゴールという輝かしい未来を常に見ていくとそっちの方に向かっていきます。
わたしの経験則では、ポジティブな側に向かっていくための、自分の中に最高の未来を持っている人はあまり多くありませんでした。逆にその人の経験の中には、あれをしなさいこれをしなさいという様な恐怖や圧迫で支配しようとする親の教育がありました。
親もそういう構造がわかってないので、良かれと思ってやってしまっているという事にも一つの要因があるのかもしれませんね。
ぱんだ:現実ベースで自分がやれること、起こっていることを基準にするから輝かしい未来が見えにくいのかなと思いました。同じ現実ベースで生きるなら、今自分に足りているものや満たされているものをみていくと、徐々に輝かしい未来の方に意識が向いていきやすいと思うんですが、どうでしょう。
渡邊さん:おっしゃる通りだと思います。今の自分が満たされていることに気づくということは、ものすごくエネルギーを上げてくれるので、大事なことだと思います。足りないと思っている状態から欲しがるのと、満たされている状態から欲しがるのとでは全く違うと思います。
ぱんだ:何に満たされていて、何がもっと欲しいのかがわからないと、常に自分の中で足りないとか貧しいという感覚が回るので、そこは大事ですよね。少し前の「当たり前」の話に戻りますが、自分が日常当たり前にやっていること、さも当然というようにしていることを広げていって観察していくと、本当はその中にいろいろできていることがあるから、みなさんがその観察をしてみるといいと思います。
渡邊さん:そうですよね。それともうひとつ、僕がやっていていい効果がでているのが、自分がしたことの感謝と自分がしてもらったことの感謝をみていくことです。
例えば毎日ご飯を作る主婦は、今まで夫に何食分作ったのか書いてみるとものすごい量になります。洗濯もそうです。それだけのことをしている存在だということです。
それで実は自分も愛されていることもわかる。両親にも同じことをしてもらってきたんですよね。たとえ両親の仲がどんなに悪かろうが、それでも自分にしてくれたことがいっぱいあるということに気づいていくと、状態が変わっていきます。自分がどれだけ満たされているかに気づいていく。
ぱんだ:その満たされていることへの気づきを妨げたり、すでに自分が幸せであるという状態にいることを見えなくするもののひとつが、客観的な事実と体験した感情込みの記憶とでも言うのか、これが大きく影響しているように思うんです。これは自然に起こってしまうと思いますが、うまく統合したり分離していけると、多くの人が満たされたり幸せだという感覚を得やすいと思います。これについて些細なことでも自分で気づいてできることはありますか。
渡邊さん:まずひとつは事実をいろんな角度から捉えてみるといいと思います。例えば、私から見た相手がしてくれたことという目線と、これをしてくれたっていうことはどういうことなんだろうという相手の立場からの視点、さらに客観的に見る社会的な視点。そんな風に目線を変えると、事実の部分がより情報量が増えて、気づきやすくなると思います。
ぱんだ:自分にとっては一大事でも他人からみたら大したことないという感じで、自分の中にいくつかそういう視点を持っていると解決しやすくなりますね。
渡邊さん:心理学の研究でも、人が何か困ったり行き詰る時っていうのは、ひとつの視点に凝り固まった時だとあります。自分の視点しか持っていないと生き辛いことになるし、他人の視点しか持っていないのも生き辛さに直面します。視点の移動は、解放していくのにとてもいい考え方だと思います。
ぱんだ:それぞれの視点で利点があるはずだから、その利点をうまくつまんでいけたらいいと思います。でもなかなか難しいんでしょうかね。
渡邊さん:慣れていくことが大切だと思います。近江商人には「三方よし」という考え方があります。自分が儲ける、お客さんが喜ぶ、社会貢献という三つの視点です。この視点で物事を捉える事に慣れていけば、それぞれの利点をうまくつまむこともできる様になります。
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