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ソーシャルワーカーという仕事 /Yさん 対談 第一部

ソーシャルワーカーという仕事 /Yさん 対談 第一部

 

 
ぱんだと各界で活躍されている方々の対談動画・記事を公開しております。

ソーシャルワーカーをされているYさんにお話を伺いました。

三部に分けてお届けします。
 

  

ソーシャルワーカーという仕事 

 
Yさん:Yです。ソーシャルワーカーです。社会福祉の精神保健福祉士で、精神科の領域の精神障害者・発達障害者の相談業務です。 
 

ぱんだ:具体的にどういうことがお仕事の範囲に含まれますか。   
 

Yさん:所属する職場によってサポートの内容は変わってきます。今所属しているところでは、対象者は精神障害者・発達障害者で、大人が対象です。 
高齢者で言うところのケアマネージャーです。主には生活面・経済的なこ と、人間関係・家族関係など治療以外のところで、その人の困りごとや課題のサポートをします。
  

ぱんだ:利用者さん本人が認識していないところか、ご本人がわかっている所も含めてなのか、どういう形でサポートされるんですか。   
 

Yさん:例えば「お金がない」という困り事だとしても、それだけを見たらお金がないことをどう解決しようかということになります。そういう単純なケースもありますが、背景やその人の中に何があるのかというところまで入っていかざるを得ないことがあります。 
 

表面だけ解決をしても、同じことが繰り返されるということが起こるので、本人が見えていない所に触れることも多くなってきます。
 

ぱんだ:本人が捉えている世界と、問題としているところはその人にとっては全てで、それが見えている間はなかなか気づけないことが多いと思います。よそから見たらこうなんだよということは話すことで伝わるのでしょうか。苦労という言葉で片付けてはいけないけれども、苦労する面かと思います。
 

Yさん:こちらでは見えている本当の課題を、本人が認められない。理解する手前の所というのも多いです。 
 

ぱんだ:認める、認めない、の前に「何言ってるんだこの人は」みたいな感じになってしまう?
 

Yさん:そうですね。本人が「これを解決して欲しいんだ!」「これに困っているんだ!」と必死でそれしか見えていない。反発するだけなので、否定するような言い方はしません。対象者が精神障害などで薬を服用していたり普通に思考が働いていない状態でもあるので、時間もかかるし遠回りもしますが、そこを一緒に見てコミュニケーションをとりながら本当の部分に近づけていきます。   
 

中には知的障害の方も含まれるので理解力というところで伝わりにくい、分からないというような感じになります。
 

 
ぱんだ:分からないという場合の関わり方は、行動心理学的であったり、認知心理学の世界と近いものがあると思いますが、説明するなどの言語のやり取りなど難しいのではないですか。 
   

担当する人を個別で関わり方を身につけるのか、ソーシャルワーカーという分野でサポートする人たちに共通の関わり方があるのか、どういうものでしょうか。
  

Yさん:カウンセリングは提案をするものではなく、「傾聴」がメインです。対話だけで一緒に考えていくので理解力・言語理解が必要です。ソーシャルワークはカウンセリングもするしコーチングもするしティーチングもして、いろんなものを組み合わせて関わります。リアルに一緒に行動して、現場で工夫の仕方を一緒にやっていくものです。その人の生活の中に入って、現場で先輩の姿を見ながら見様見真似で取り入れていきます。患者さんとのやり取りで、自分自身でこういう時はこうしようという感覚で組み合わせてきたと思います。
 

ぱんだ:例えばNLP だと、信頼関係を築くために色々なスキルや考え方があります。話を聞いているとスキル的な関わりをすると反発を生んでしまう から、時間はかかるし、信頼関係は少しずつしか築けないかもしれないけれど、その人と密接に関わることで、相手が肌で感じる気持ちや心で感じることを重視されているように感じました。 
 

Yさん:その通りです。社会福祉、ソーシャルワークの分野は、看護士や心理士と比べると泥臭い部分があります。家に入れる時点で信頼関係があるということですから、人として好かれることが必要です。   
 

一人一人が違う中で、実際に対話しながら相手の言語がどういうタイプかを探して行きます。担当する相手によって私自身も変わって見えると思います。 
 

ぱんだ:心理学とかコーチングもそうですがタイプ分けみたいなものがありますよね。 
利用者さんたちはタイプに当てはまらない方が多いと思いますがどうですか。 
 

Yさん:そうですね。 
 

ぱんだ:泥臭く関わる中で、この人はこうなんだという形で理解するのですか。
  

Yさん:「この人は統合失調症という病気だから」ではなく 「その人の中に統合失調症という部分がある」という見方をします。病気と付き合うというよりはそのひと個人と付き合います。   
 

まずはどんな人だろうと観察する。一緒に何かをしながらというスタイルは、わたしの場合は言葉だけのやり取りより、関係が取りやすいです。割と早い段階で表面的ではない素の部分が見つけられるのではないかと思っています。 
 

 
ぱんだ:症状から入らないでその人から入るのは、ソーシャルワーカー全般的な共通認識なのか、Yさんがそういうやり方に自然に至ったのか、どうでしょうか。
  

Yさん:そういう見方をしようというのはソーシャルワーカーには共通であるべきだと思いますが、重視している人としていない人どちらもいます。 病気の部分ではなくその人全体を見るということに共感したので、私はそれを採用しています。 
お医者さんは病気の部分、悪い所を直そうという仕事で、ソーシャルワーカーはそういう見方をしようという領域の仕事だと思います。 
 

ぱんだ:全員ではないがそういう視点や考え方は多いということですね。 起こっていることに対処していくという事、何で起こっているかという原因を探るというのがセットになっていることが多いですか。 
 

Yさん:私たちがやることは、生活を見てできているところ良いところをどう生かし、残っている機能をどう引き出すかということです。お医者さんとは別の視点で、病気による生きづらさを解決しようという役割だと思っています。できないところは人に頼り、できる部分は自分でやれるようにして、生活の中でその人の幸せ度を上げるということがソーシャルワークの役割です。 
 

ぱんだ:その人の今を見るということをしているんですね。今あるものを、 今持っている財産と表現すれば、今ある財産をソーシャルワーカーが認識し、次に本人に認識してもらい、もっと有効に生き方や幸せ、楽しく過ごすことに活用しているんだと思いました。その認識で間違いないでしょうか。
 

Yさん:はい。いいところ探しをするという一面があるので私自身はその方がテンションが上がりますし楽しいです。   
 

昨年は発達障害の若い人と関わる機会が多かったんです。精神障害は病気ですが、発達障害は病気ではありません。 
 

できることとできないことの凸凹が大きいのですが、できないところをできるようにするということではありません。自分はマイナスと感じているかもしれない突出している部分を、プラスだよと外から言われて初めて気がついて、変わっていくことがあります。トンガリを生かすという視点で人と接することができるのはこの仕事の楽しみの一つです。
 

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